「資さんうどん、なんか変わった気がする」「もう別物じゃない?」「北九州を名乗らないでほしい」――そんな声がSNSや掲示板で増えています。今回の“ざわつき”の引き金として注目されたのが、運営会社「資さん」の社長交代です。公式発表によれば、代表取締役社長の佐藤崇史氏は2026年3月31日で退任し、崎田晴義氏が2026年4月1日付で代表取締役社長に就任します。
ただし、話の本質は「トップが変わる」ことだけではありません。2024年10月にすかいらーくグループが資さんの全株式を取得し、全国展開・業態転換を含む成長戦略を明確化したこと、そして2026年には国内30店舗の出店計画や台湾での海外1号店開業など“加速”が見える形になったことが、地元ファンの不安と結びつきやすくなっています。
なぜ今、「資さんうどんは終わった」と言われているのか
結論から言うと、「終わった」と言われる背景には、①経営の節目(社長交代)と②成長フェーズ(出店・海外進出の加速)が同時期に重なったことが大きいです。読売新聞は、資さんがすかいらーくHD傘下で首都圏などへ店舗網を拡大してきた流れの中で、8年ぶりのトップ交代が起きた点を報じています。
さらに、会社側の説明(「運営は従来通り」「味を守る」)と、利用者側の体感(「味が変わった気がする」「雰囲気が変わった」)が噛み合いにくい状態も火種になりがちです。資さん公式サイトは、新体制のもとでも「創業から続く資さんの味をしっかりと守りながら」提供を続けると明記しています。
つまり今は、「地元の思い出(ローカルの資さん像)」と「全国ブランドとしての資さん(再現性・拡張性)」がぶつかりやすいタイミングなのです。すかいらーく側も、資さんうどんを“低価格の大衆食堂・和食ファミレス”として全国展開したいという意図を示しています。
資さんうどんに何が起きたのか|社長交代とすかいらーく傘下の経緯
2024年:すかいらーくHDによる全株式取得
大きな転換点は、すかいらーくグループが2024年10月に「資さん」の全株式を取得したことです。すかいらーくのIR(M&A推進ページ)でも、2024年10月に資さんの全株式を取得したと明記され、成長戦略の柱として位置づけられています。
同ページでは、すかいらーくが持つ既存店・立地開発力・サプライチェーンなどを活用して全国・海外展開を支援する方針が示されており、資さんの“ローカルチェーンから全国へ”という流れが企業戦略として明確になっています。
2026年:元すかいらーく幹部が社長就任
資さん公式の「代表取締役の異動に関するお知らせ」では、佐藤崇史氏が任期満了で退任し、崎田晴義氏が2026年4月1日付で代表取締役社長に就任する、と具体的な日付つきで告知されています。
読売新聞は、崎田氏が元すかいらーくHD取締役で、すかいらーくレストランツなどで社長を務めた経験がある人物であること、そして今回の交代が8年ぶりであることを伝えています。
全国展開・海外進出が急加速した背景
2026年の計画として注目されているのが、国内の出店ペースです。流通ニュースは、すかいらーくHDが2026年に日本で30店舗の出店を予定していると報じています。
さらに海外では、台湾で6月に海外1号店をオープンし、年内に台湾で3店舗出店する見込みが示されています。これは読売新聞でも同様に報じられ、出店が軌道に乗ればマレーシアやインドネシアなど他アジア諸国への展開も検討するとされています。
「味が変わった」は本当か?地元民が感じる違和感の正体
「味が変わった」と感じる人がいる一方で、「変わっていない」と感じる人もいます。ここで重要なのは、断定ではなく、“変化が起こり得る構造”を理解することです。
出汁・麺・天ぷらで指摘される具体的な変化
掲示板では、出汁の香り、塩味、麺の食感、ごぼ天など揚げ物の状態といった“体感”が多く語られていました(※掲示板はあくまで個人の主観)。一方で企業側は、新体制でも「創業から続く味を守る」と明言しています。
つまり、口コミで語られる“変化”が事実として一律に確認されたわけではありません。しかし、チェーン拡大期には調達・製造・オペレーションの標準化が進み、提供体験が変わりやすいのも事実です。すかいらーくのM&A推進ページは、全国展開における再現性の検証(理化学分析・モニターテスト等)に触れています。
北九州の店舗と全国店舗で違いはあるのか
“地元と全国で味が違う”という議論は起きがちですが、ここで押さえるべきは、すかいらーく自身が水質など地域条件が味の再現に影響する点を認識し、検証しているということです。すかいらーくのIRページでは、地域ごとに異なる水質の影響を考慮し、同じ味の再現に試行錯誤していると記載されています。
また、海外展開でも「食材の供給方法などを今後詰める」とされており、店舗が増えるほど供給・再現性が重要になる構図は国内外で共通です。
「変わった」と感じる人/感じない人の分かれ目
分かれ目は大きく3つです。
- 記憶の基準点:昔から通っていた人ほど“あの頃の資さん”との差分に敏感になる
- 来店店舗・時間帯:同じチェーンでも店舗条件(混雑、揚げ置き、提供温度など)で印象が変わりやすい
- ニュースの影響:社長交代などのニュースが“変化した気がする”感覚を補強しやすい
ただし、社長交代=味変更と短絡するのは早計です。資さんは「店舗運営も従来通り継続」と説明しており、少なくとも公式には“急な路線変更”を否定しています。
「北九州のソウルフード」を名乗ることへの反発
そもそも資さんうどんは本当にソウルフードだったのか
「ソウルフード」の定義は人によって違いますが、すかいらーくのIRページでは資さんうどんを「北九州市のソウルフード」として紹介しています。これは“そう呼ばれてきたブランド”であることを示す材料になります。
一方、地元の中でも資さんへの距離感は一様ではありません。掲示板には「地元民はそこまで執着してない」「別の店に行く」など温度差があり、“ソウルフード”がアイデンティティの言葉として揺れるのも自然です(※掲示板は主観の集合)。それでも企業としては、地元性を価値として全国に届ける戦略を採っています。
地元民が抱く「奪われた感じ」の正体
「奪われた」と感じるとき、人が失っているのは味だけではありません。24時間営業、豊富なメニュー、生活圏に溶け込む“使い勝手”など、体験の総体がローカルの記憶と結びついています。すかいらーく社長は資さんを「和食ファミリーレストラン/低価格の大衆食堂」として幅広い客層に支持される点、24時間営業が強みである点を説明しています。
その体験が全国仕様へ最適化されていくと、「自分たちの資さんが遠くなる」感覚が生まれます。さらに2026年は国内30店・台湾出店など“拡張”が数字で見えるため、喪失感が増幅しやすい状況です。
なぜ「北九州を名乗るな」という言葉が出るのか
地名は、しばしば“品質保証”や“文化の記憶”のように機能します。だからこそ全国化で体験が揺れると、地名の看板に対して反発が起きやすい。これは資さんに限らず、地域発ブランドが全国に広がる際に起きがちな摩擦です。
一方、企業側は地元の価値を否定しているわけではありません。すかいらーくは資さんの良さを守りつつ全国・海外に広げる方針を掲げ、資さん側も「創業から続く味を守る」と明記しています。
ローカルフードは全国展開で何を失うのか
丸亀製麺・はなまるうどんとの決定的な違い
資さんは「うどん屋」だけではなく、和食ファミレス/大衆食堂的な幅広い利用動機を取り込む設計が特徴だと説明されています。流通ニュースは、金谷社長が資さんを「うどんを中心とした和食ファミリーレストラン、低価格の大衆食堂」と表現したことを報じています。
この“生活密着型”の性格が、地元の生活文化と強く結びつきやすく、全国仕様への変化が「思い出の上書き」に感じられやすいポイントです。すかいらーくのM&A資料でも、低価格帯業態の補完として資さんを迎えたことが示されています。
地名ブランドと「地元性」のズレ問題
全国展開では標準化が不可避で、再現性を高める努力と同時に“地域差”が残ることもあります。すかいらーくは、地域ごとに異なる水質の影響を考慮しながら同じ味の再現を検証していると説明しています。[3](https://corp.skylark.co.jp/ir/strategy/growth/ma/)
海外でも、食材供給の設計が重要論点として挙がっています。台湾1号店は台北市内予定で、食材供給方法を詰めると報じられています。供給設計が味や体験の再現性に直結する点は、国内外共通の課題です。
ファンの声と経営判断はなぜ噛み合わないのか
ファンが求めるのは「記憶の保存」「変わらない安心感」。企業が求めるのは「拡張」「再現性」「収益性」。この目的の違いが噛み合いにくさを生みます。すかいらーくは資さん買収の狙いとして、既存店の業態転換やサプライチェーン活用などによる成長戦略を示しています。
そのうえで、2026年に国内30店舗出店、台湾で年内3店舗という計画が公になったことで、ファンの不安(“変化が不可避では?”)が強まるのは自然です。
資さんうどんは「終わった」のか、それとも「別の店になった」のか
「終わった」と言うのは簡単ですが、現実はもっと複雑です。公式には、資さんは社長交代後も「経営方針・店舗運営は従来通り」「創業から続く味を守る」と説明しています。
一方で、すかいらーくの成長戦略としては、全国展開の加速が既定路線です。2026年は国内30店舗、台湾で海外1号店を6月に開業し年内に3店舗――この“拡張の速度”を見れば、資さんが「ローカルのまま」であり続けるのは難しいでしょう。
だからこそ、着地点はこう整理すると腑に落ちやすいはずです。
- 地元ファンにとって:「変わってほしくない“資さん体験”がある」
- 新規客にとって:「今の資さんが“初めての資さん”であり、比較対象がない」
- 企業にとって:「より多くの人に届けるため、再現性と拡張性を高める必要がある」
つまり“終焉”というより、資さんは「ローカルの資さん」から「全国型の資さん」へ変態(トランスフォーム)している途中なのかもしれません。変化を「劣化」と感じる人がいる一方で、変化を「進化」と捉える人もいる――この温度差が、まさに今回の議論の中心です。
FAQ(よくある疑問)
Q. 社長交代はいつから?
A. 2026年4月1日付で崎田晴義氏が代表取締役社長に就任予定です。
Q. 会社は「味が変わった」ことを認めている?
A. 公式発表では「創業から続く味を守る」「運営は従来通り継続」としています。
Q. 2026年の出店計画は?
A. 2026年は国内30店舗の出店、台湾で6月に海外1号店を開業し年内に3店舗出店見込みと報じられています。





