2017年4月28日金曜日

2004年08月  ◆ 剣道修行の要諦(その五) ◆

丹田呼吸が健康になるための効果について続けて説明します。
(イ)丹田呼吸で横隔膜が運動します。その運動で心臓が圧迫されるので血流が良くなる。
(ロ)酸素が増大するので、筋肉内にミオグロビンという酸素を貯蔵する蛋白を生ずるので疲労を回復する。
(ハ)胸の息を気海丹田まで下げる。ここに力を入れると、健康と勇気が得られるといわれる。

二、運動心理学と呼吸の関係
 丹田呼吸によって横隔膜が上下して太陽叢を刺激します。太陽叢とは、自律神経の集まっているところで、みぞおちの奥にあります。自律神経には、交感神経と副交感神経の二つがあって、副交感神経が交感神経に比べて優位になると精神が安定します。
 丹田呼吸によって太陽叢を刺激すると、副交感神経が優位になるから心が落ち着きます。試合の前に緊張すると、オシッコがしたくなったり、口の中が渇いたり、からだが震えることがあるでしょう。それは交感神経が優位になっているのですから、丹田呼吸をやって副交感神経を優位にすることです。
 以上のことから、呼吸が乱れたら心が乱れる。心が乱れたら呼吸が乱れるということがいえます。どんなに技がうまく体力があっても、試合のときに心が乱れたら、切角の技も生きてきません。絶えず呼吸を練って心が乱れないよう努力してください。

三、剣道技術との関係
 剣道では、実をもって虚を打つことは鉄則です。虚とは隙です。呼く息は実で吸う息は虚です。実は長く、虚は短く。これが長呼気丹田呼吸の意味です。相手を崩すということは、相手の呼吸を攪乱することで、剣道は呼吸の乱し競べであって、早く呼吸が乱れた方が負けです。

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